FULFILL / Day2 進行役の手元用

KGIヒント集

台本05「各事業部のKGI宣言」で、メンバーが詰まったときだけ開いてください。
この紙は配りません。岡田さんの手元だけで使います。

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使い方

先に見せないでください

まず本人に言ってもらう。詰まったときだけ、1つだけ出す。選択肢を並べて選ばせると、本人のものでなくなります。

出すときの言い方:「Day1でこうおっしゃっていましたが、こういう測り方もあります。どうでしょうか」——決めるのは本人です。

★今日、2倍の数字は決めなくていい

3人とも現在値を持っていません。Day1の6時間49分で出てきた実数は、中岡さんの労務工数くらいです。

田中さんが、Day1でこう言っています。「一旦現実的な数字を出して、そこからチャレンジングな、ヒリヒリ感のある目標設定を常にしてます」——現在地が先、目標が後、という順番です。

現在地を持たないまま「2倍はいくつ?」と聞くと、Day1で26分止まったのと同じことが起きます。

01

宣言の形を、先に全員に示す

これが今日いちばん効きます。文の形が揃っていないと、3月に「達成したかどうか」を判定できません。

2026年9月実績の〈    〉を、
2027年3月の単月で 2.0倍にする ※現在値がまだ無いものは「10月頭に測って、その場で数字を置く」でOK

そのまま言うセリフ宣言していただく前に、形だけ揃えさせてください。3つです。

1つ目。「いつと比べて2倍か」を必ず入れてください。基準は2026年9月で揃えましょう。
2つ目。3月の「単月」で比べます。半年の合計だと、まだ効果が出ていない秋の数字が混ざって、改善が見えなくなります。
3つ目。今日、2倍の数字は決めなくて構いません。「何を数えるか」だけ決めてください。数字は10月頭に測って置きます。

よろしいですか。どうぞ!

基準を決めないと、同じ努力が「2倍」にも「1.4倍」にもなります

中岡さんはすでにAI化で30%削減済みです。9月を基準にするか、AI導入前を基準にするかで、まったく同じ成果の見え方が変わります。

基準が書かれていない宣言は、3月に自分に都合よく読み替えられます。そこで揉めます。

中岡さんSES事業部

3人の中で唯一、測る道具をすでに持っています。「SESでは労務や事務作業は全て時間を決めています。どの業務は最大で何時間かかるかが設けられている」——この標準時間表が、他の2人にはありません。

まずこれ

内勤の処理量 ÷ 内勤の投入時間

何を数えるか
月の処理件数を標準時間に換算した合計を、内勤が実際に働いた時間で割る
単位
倍率(9月を1.0とする)
今の値
不明。ただし標準時間表があるので、件数を掛ければ1〜2日で出せます
どこから取るか
業務別の標準時間表(既存)+勤怠システムの実働時間
弱点
標準時間は「決めた時間」であって実際にかかった時間ではありません。表を書き換えれば達成できてしまうので、勤怠の実働と突き合わせること

これを最初に出す理由:3人の中で、Day2のその場で現在値を言えるか、数日で出せる唯一の人だからです。他の案はすべて「まず測るところから」になります。

これで足りないときの代替案

  • 内勤人件費 ÷ 内勤売上(人件費率)本人が「30%を15%に」と言っている方向。半分になる=人件費1円が生む売上が2倍なので、そのまま倍率で書けます。ただし、人が辞めても勝手に下がります。内勤の退職がすでに出ているので、これ単独では危険
  • 浮いた稼働日を、新しい仕事に何日回せたか本人の「1人あたり月15〜20日稼働のうち10日分が空く」がそのまま天井。ただし「新しい仕事」の定義が甘いと、いつもの仕事を名前だけ変えて計上できてしまいます
  • 請求後の「事後問い合わせ」件数(100通あたり)本人の定義「顧客への対応時間と質の向上/事後問い合わせをいかになくすか」に一番近い。ただしKGIではなくガードレールとして使うべきです(下の注意を参照)

★中岡さんだけ、KGIが2本必要です

「50%削減」と「新しいキャッシュポイント」は、1本にまとめられません。まとめると「人を減らして終わり」で達成できてしまいます。

A:内勤の処理量 ÷ 投入時間(9月比2.0倍)
B:新しいキャッシュポイントの月次粗利(現在ゼロなので、倍率ではなく金額で)

「AとBの両方が達成されたときだけ2倍と認める」と、その場で言い切ってください。片方だけを部分点にすると、必ず簡単なほう(削減)だけが進みます。

「顧客への対応時間と質」をKGIにしない理由

「質」は2倍になりません。倍率がない。そしてこれをKGIにすると、内勤50%削減と正面衝突します。人を半分にしながら質を上げるのは、どちらかが必ず犠牲になります。
正しい役割は「ブレーキ」です。削減を進めても品質が落ちていないことを示す番人として置く。中岡さんの意図(顧客に迷惑をかけずに減らす)は、この置き方でちゃんと守られます。

井田さん本社・DX事業部

先に確認すること:3000時間か、300時間か

Day1の同じ17分の間に、「3000時間」と「僕は今300時間」の両方を言っています。月なのか年なのか累計なのかも決まっていません。

読み方必要な人数
3000時間=6か月の合計12.5人分
3000時間=1年の合計6.25人分
300時間=6か月の合計1.25人分

12.5人でやるのか、1.25人でやるのかの違いです。ここが決まらないと、達成も未達も判定できません。

まずこれ

「3000時間」の単位を、その場で入れてもらう

何を数えるか
対象者1人が、1営業日にAIで浮かせた時間
単位
時間 / 人 / 日
今の値
不明。「1人当たり2時間」は目標であって実測ではありません
先に決めること
①対象者は何人か ②1日か、月か、年か

これを最初に出す理由:井田さんが唯一すでに全員の前で口に出した数字だからです。他の案から入ると、宣言した「3000時間」を取り下げることになり、そこで手が止まります。「やめましょう」ではなく「単位だけ入れましょう」なら、本人の言葉のまま前に進めます。そして単位を入れた瞬間に、300と3000のずれが本人の目に見えます。

単位を入れてもらった直後に、必ずこれを聞くありがとうございます。もう1つだけ。その削った時間は、どこへ行きますか。→ Day1で中岡さんが同じ質問をして、井田さんは「現状、具体がないです」と答えました。ここは流れたままです。時間削減だけをKGIにすると、3月に「削れました。で、何が増えたんですか」で終わります

「削った時間の行き先」として渡せる案

  • 同じ人数で出した申請の件数(件 / 人 / 月)井田さんの本業そのもので、時間の行き先に答えが出ます。時間を削る → 同じ人数でより多く申請を出す → 受注が増える、と1本につながります。ただし件数だけを追うと、通らない申請を量産して採択率が落ちます
  • 1人あたりの受注額(円 / 人 / 月)Day1の後に本人が「社員単価を上げるのは追いやすい」と言っている方向。入金ではなく受注(契約成立)時点で計上すれば、採択のズレを回避できます
  • 申請書類1件あたりの所要日数ChatGPTで「ホームページを入れたら書類ができる」を実現済みなので、効果が一番はっきり出ます。過去10件の依頼日と提出日をさかのぼれば、今日から測れます

「粗利」は、3月までには測れません

本人が「DX事業部の粗利を」と言っていますが、本人自身の説明で2か所つぶれています。

分母が出ない …「DX事業部は全員の人件費が見えない」「人件費に関してはSIも見てるんで、DXとSIプラスで一緒」

分子が期間内に確定しない …「DXはお金になるタイミングが結構ずれる。採択が通るか通らんか分かるのが何か月後」

否定せずに、こう渡してください。「粗利は3月時点だとまだ採択が出ていないので、受注額なら今日から追えます。そちらでどうでしょうか」

DXだけ、実は打てる期間が半分です

採択結果が数か月後に出るので、10月着手の案件は3月時点で結果が確定しません。同じ「6か月」に見えて、DXの実質有効期間は10〜12月の3か月です。横並びで「6か月で2倍」を宣言させると、実現不可能な約束をさせることになります。「受注ベースで測る」と決めるだけで解決します。

田中さんMove on

最初にこの一言を。「ムーブオン単体の数字で構いません」——Day1で「視点が違いすぎてイメージができない」と言って26分止まっています。この1行で、その繰り返しをかなり防げます。

まずこれ

1人の担当者が、同時に動かしている求職者の数

何を数えるか
1人の担当者が対応中の求職者の人数
単位
人 / 担当者
今の値
不明。ただしGASを組んだ求職者管理表の「担当者」列を数えれば、今日出ます
どこから取るか
スプレッドシート(求職者管理表)。月1回、同じ日に数えるだけ
弱点
数を持つだけで放置すると、1人あたりの対応が薄くなって成約率が落ちます。必ず成約件数と並べて見ること

これを最初に出す理由:田中さんは自分が出した「AIの使用時間2時間」を、自分で否定したまま、代わりを出せずに終わっています。いきなり別の指標を出すと「乗り換えろ」に聞こえて、また止まります。この案なら、否定せずに引き継げます。

そのまま言うセリフ田中さん。前回「AIの使用頻度を2時間上げる」とおっしゃって、そのあとご自身で「AIを使うことが目的になってしまう懸念がある」とも言われていました。
あの2時間は、間違いではないと思います。置き場所が一段手前だっただけです。
使った2時間の結果、1人で何人多く見られるようになったか。そこを数えるのはどうでしょうか。→ 本人の発言を否定せず、行き場を作る言い方です。否定から入ると、この人は止まります

これで足りないときの代替案

  • 担当者1人あたりの月間成約件数(件 / 人 / 月)本人が書いた「1人当たりの利益」を、動かせる形に割ったもの。セールスフォースの成約レコードを担当者別・月別に数えれば出ます。上の案とセットで見るのが基本
  • 1人あたり粗利(円 / 人 / 月)本人の定義そのもの。ただし分母は「期末の人数」ではなく「期中平均の在籍人数」に。期末にすると、3月に1人辞めた瞬間に数字が跳ねます
  • 初回面談から成約までの平均日数この案だけ「小さくなると良い」向きです。他と混ぜて説明すると混乱するので注意。企業側の選考スピードに左右されるのも弱点

「AIの1日の使用頻度2時間」は、外していい

本人が信じていません。「AIを使うことが目的になってしまう懸念」「別にAIを使わなくても2倍になる」「ここは測りきれない」と、3点セットで否定しています。

そして天井があります。実働8時間のうち2時間を使ったら、次は3時間、4時間。5時間使ったら業務の6割がAI操作です。天井のある数字は「2倍」と噛み合いません。

本人の判断が正しいので、そのまま外して構いません。

02

3人の宣言が出そろったら、最後にこれを言う

3事業部でKGIがバラバラになること自体は、Day1で決めたとおり正しい判断です。問題は「最後にどう束ねるか」を決めていないこと。ここは1〜2分で決まります。

そのまま言うセリフ3つとも、ものさしが違いますね。それでいいと前回決めました。事業の形が違いすぎるので。
ただ、1つだけ決めさせてください。2027年3月に「全社で2倍になった」を、何で判定しますか。
私の提案は「連結の1人あたり粗利」1本です。経理がすでに持っている数字なので、皆さんに新しい作業が1つも増えません。これでよろしいですか。

ここを決めないと、真面目に測った人が損をします

中岡さんは標準時間表があるので厳密に測れます。=ごまかせない、=厳しい。井田さんは分母が無いので、いくらでも甘い数字を置けます。

このまま3月を迎えると、全員が「来期は測れない指標を置いたほうが得だ」と学習します。指標設計で、いちばん避けるべき副作用です。

03

進行役として、頭の隅に置いておくこと

出典:Day1(2026-08-29)の録画6時間49分の全文文字起こしから、3人それぞれの発言を抽出。指標の妥当性は、作成者とは別の検証役が独立に判定しています。
注意:現在値はいずれも文字起こしから確認できませんでした。推測で数字を作っていません。「不明」と書いてあるものは、本当に不明です。
この紙は配布しません。進行役の手元だけで使ってください。